第3編 諸取引の処理_その2

目  次

第1章 現金・預金に関する取引
第2章 商品売買に関する取引
第3章 資金の調達と運用
第1節 借入金(長期借入金)について
第1項 意義
第2項 取引と会計処理
第2節 手形借入金(短期借入金)について
第1項 意義
第2項 取引例
第3節 手形の割引きについて
補足  融通手形
第4節 増資および社債の発行
第5節 有価証券について
第1項 意義
第2項 勘定科目
第3項 子会社株式および関連会社株式など
第4項 株券の場合
第5項 公・社債券
第6項 有価証券の評価
第6節 投資不動産について
第7節 貸付金について
第8節 手形貸付金について
第9節 定期預金等について

第4章 資産のいろいろ
第1節 流動資産
第1項 意義
第2項 例示
第2節 固定資産
第1項 意義
第2項 有形固定資産と具体例
第3項 無形固定資産と具体例
第4項 投資等と具体例
第5項 減価償却について
第6項 固定資産の売却と除却
第7項 資本的支出と修繕費
第8項 固定資産と消耗品費
第3節 繰延資産
第1項 意義
第2項 創立費
第3項 開業費
第4項 株式交付費(旧:新株発行費)
第5項 開発費
第6項 試験研究費⇒新しい会計基準では即時費用処理
第7項 社債発行差金⇒新しい会計基準では社債額(負債)から直接控除
第8項 社債発行費
第9項 建設利息⇒廃止

第5章 負債のいろいろ
第1節 流動負債について
第1項 意義
第2項 具体例
第2節 固定負債について
第1項 意義
第2項 具体例
第3節 引当金について
第1項 引当金の設定
第2項 設定要件
第3項 仕訳例
第4節 社債
第1項 意義
第2項 会計処理

第6章 債権・債務のいろいろ
第1節 未収金と未払金について
第1項 意義
第2項 勘定科目
第3項 取引例
第2節 前払金と前受金について
第1項 意義
第2項 勘定科目
第3項 取引例
第3節 貸付金と借入金について
第4節 手形貸付金と手形借入金について
第5節 立替金と預り金について
第1項 意義
第2項 勘定科目
第3項 取引例
第6節 仮払金と仮受金について
第1項 意義
第2項 勘定科目
第3項 取引例
第7節 商品券と他店商品券について
第1項 意義
第2項 勘定科目
第3項 取引例

第7章 資本とは
第1節 資本金
第1項 個人企業の資本金
第2項 株式会社の資本金
第3項 取引と会計処理
第2節 資本準備金
第1項 意義
第2項 取引と会計処理
第3節 利益処分
 意義
第4節 損失処理
第1項 意義
第2項 会計処理
第5節 剰余金

第8章 収益の諸勘定について

第9章 費用の諸勘定について


第3章 資金の調達と運用について

=調達=
 資金の調達は、銀行より借入れするのが一般的ですが、銀行ではイ、証書貸付(企業側からみれば、長期借入金) ロ、手形貸付(企業側からみれば、短期借入金) ハ、手形割引の3方法のいずれかにより貸付を行なっています。


第1節 借入金(長期借入金)について

第1項 意義

 土地、建物、備品の購入などに要する「設備資金」は、「金銭消費貸借契約(借用証書)」に基づき、長期・多額の資金の融資を受けます。
 ここで、「長期」とは、簿記会計においては「1年超」を指しています。具体的に、金融機関は7〜10年くらいを超長期とみているようです。

 民法上、「貸借」と名が付く典型契約には、「消費貸借(587条〜)」、「使用貸借(593条〜)」「賃貸借(601条〜)」の3種があり、このうち、「使用貸借」は無償契約、「賃貸借」は有償契約、「消費貸借」は当事者の意思により有償の場合と無償の場合があります。
 また、「使用貸借と賃貸借」は、目的物の所有権が移転しませんが、「消費貸借」は、所有権まで借主に移転します。したがって、前2者は「同一物」の返還が要請されるのに対し、後者は「同種物」による返還となります。
 ここで、金銭所有権は、占有と共に移転し、また、金の貸し借りは、利息付と無利息の場合が存しますので、金銭を目的とする場合は、「消費貸借契約」となるのです。

第2項 取引と会計処理

 ・借入金額 1,000円  ・借入期間 5年
 ・借入利息 年6%     ・5年均等返済
(仕訳)−借入時−(現  金)1,000(借 入 金)1,000
−1年後−(借 入 金)
200
(現  金)
260
(支払利息)
60
−2年後−(借 入 金)
200
(現  金)
248
(支払利息)
48
−3年後−(借 入 金)
200
(現  金)
236
(支払利息)
36


第2節 手形借入金(短期借入金)について

第1項 意義

 仕入れなどに要する「運転資金」は「約束手形」を振出して、短期・少額の資金の融資を受けます。
 ここで、「短期」とは、簿記会計においては「1年以内」を指しています。具体的に、手形借入れの場合、金融機関は3ヵ月を単位としているようです。
 なお、資金融資に、なぜ「手形」を用いるのでしょうか。
 まず、約束手形振出しの手続きが簡便であること、また、印紙税が比較的少額ですむこと、さらに、金融機関の立場で考えてみると「債務不履行」がおきたときに、「約束手形」は「金銭消費貸借契約」に比べて、短期間に強制執行が可能であることなどが、利点として挙げられます。

 
第2項 取引例

 ・借入金額 500円 ・借入期間 6ヵ月(3ヵ月の更新)
 ・借入利息 年4.8%
(仕訳)−借入時−(現  金)494(手形借入金)500 手形借入れの場合、通常、
期間は3ヵ月であって、借入
期間が6ヵ月であれば、3ヵ月
後に「手形の更改」がおこな
われる
(支払利息)
−3ヵ月後<手形の書き換え・手形の更改>−
(手形借入金)500(手形借入金)500
(支払利息)
(現   金)
−6ヵ月後−(手形借入金)500(現   金)500

手形法上、確定日払いの手形には「利息文句」は無効となっていますので、債権者である金融機関は、「利息債権確保」のために「利息の前払い」か、利息を含めた手形金額の記入を要求します。通常、「利息の前払い」となっています。
 なお、例題の解答では、利息計算は月計算をしましたが、本来は「両端入れ」の日数計算です。


第3節 手形の割引きについて

 「手形の割引き」は、『第2章 商品売買に関する取引 第6節 手形取引 第5項手形の割引きについて』において説明しましたが、本来はこの『第3章 資金の調達』の一方法です。
 手形の所持人は、手形債務者(約束手形の振出人・為替手形の引受人)の信用を担保に借入れを行なっていると考えられます。
 資金調達ではありますが、原則として「返済の問題」は、発生しません。

なお、仕訳のパターンは以下のとおりです。
       (現   金)×××(受取手形)×××
       (手形売却損)×××


(補足) 融通手形について

 (従業員のボーナスの支払いなどに要する資金で)金融機関の融資を受けられない場合、同業者間で互いに約束手形を振出し、受取った約束手形をそれぞれに銀行で割引き、資金の調達を図ることがあります。

     (1)、(受取融通手形)×××(支払融通手形)×××
     (2)、(現    金)  ×××(受取融通手形)×××
        (手形売却損)   ××
     (3)、(支払融通手形)×××(当座預金)   ×××

 現実の商取引に基づく商業手形は経済的な裏付けがありますので、その支払いに確実性が期待できますが、金融上の要請だけに振出される「融通手形」は支払いに不安があり、多くの場合「割引き」が困難です。よって、商取引を偽装することが多く、現実的には、以上のような仕訳をするかどうかは疑問です。
 仕訳の問題はさておき、資金調達の方法としては、中小・零細企業間において、しばしば用いられるようです。
 ただし、相手方が支払不能となると、「手形の遡求効」により、二重の支払義務が発生し、結果、「連鎖倒産」となることが多くあります。


第4節 増資および社債の発行

 株式会社の場合は、「増資」による資金の調達が考えられますが、この項目については、「会社会計」の章を参照してください。
 さらに、株式会社の場合は、「社債の発行」による資金の調達が考えられますが、この項目については、「会社会計」の章を参照してください。


=運用=
 企業の手持ち資金に余裕がある場合は、イ、銀行に預金をする ロ、証券市場に投資をする ハ、不動産を購入する ニ、他企業などへの貸付け……といった方法により、資金の保全と利殖を図ることとなります。

第5節 有価証券について

第1項 意義

 「手持ち資金」に余裕がある場合は、資金の保全と利殖を目的として、公・社債券、株券を購入・取得することがあります。この場合、「売買目的有価証券勘定」を用います。
 なお、法的には小切手(現金勘定)・手形(受取手形勘定)・貨物証券(未着品)なども有価証券ですが、簿記では「公・社債券、株券」のみを「有価証券」としています。

第2項 勘定科目

 売買目的有価証券勘定は、購入・取得した場合は「借方」に、売却したときは「貸方」に記入します。

第3項 子会社株式および関連会社株式など

 有価証券は、その所有目的によって次のように分類されます。

イ、売買目的有価証券:時価の変動により利益を得ることを目的とした株券や社債その他の債券

ロ、満期保有目的の債券:償還時期(満期)まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券

ハ、子会社株式および関連会社株式:他の企業に影響を与える、もしくは、支配する目的で保有される「有価証券」は、他の有価証券と区別して子会社株式および関連会社株式を用います。

二、その他の有価証券:上記のいずれにも分類されない有価証券

第4項 株券の場合


(1)(売買目的有価証券)50,000(現  金)50,000
(2)(現  金)
5,000
(受取配当金)
5,000
(3)(現  金)70,000(売買目的有価証券)50,000
(有価証券売却益)20,000
(4)(売買目的有価証券)70,000(現  金)70,000

第5項 公・社債券


(1)(売買目的有価証券)97(現  金)97
(2)(現  金)
(有価証券利息)
(3)(現  金)98(売買目的有価証券)97
(有価証券売却益)
(4)(売買目的有価証券)98(現  金)98

100円の債券を97円で発行する、すなわち額面金額以下で発行することを「割引発行」といいます。
 (株券の発行の場合、「割引発行」することは、認められません。なお、株券では額面金額以上で発行することはしばしば行なわれ、この場合「打歩発行(ウチブハッコウ)」といいます)
 社債を「割引発行」すると、実質利回り(これに対して、上記の例での6%は表面利回りといいます)ということが問題となります。
実質利回りの計算
 97円の出資に対して6円の利息が得られ、かつ97円の貸付に対し100円が償還されますので、10年間で3円…すなわち1年につき0.3円増加します。したがって、利回り計算は、以下のようになります。

第6項 有価証券の評価

 有価証券についての評価は、その所有目的によって異なります。

イ、売買目的有価証券は、時価主義が採用されます。時価が取得原価(帳簿価額=簿価)を上回る場合は、その差額を「有価証券評価益」の貸方に計上し、時価が簿価を下回る場合は、その差額を「有価証券評価損」の借方に計上します。
 有価証券の取得原価は、購入代価に証券会社等への手数料などの付随費用を加算した金額です。
 なお、同一銘柄の株式・公社債券を、異なる単価で購入した場合には、単価は、移動平均法もしくは総平均法にて計算しなければなりません。

ロ、満期保有目的の債券は、原則として「取得原価」で評価します。ただし、取得原価と債券金額とが異なる場合には、「償却原価法」を適用します。

ハ、子会社株式および関連会社株式は、取得原価でもって評価します。

ニ、その他の有価証券については、時価法で評価することとなります。

(例1)取得価額7,000,000円(@70,000×100株)の株券が期末時価@65,000円となっていたので、評価替えをした。。
(解)(有価証券評価損)500,000  (売買目的有価証券)500,000

なお、有価証券評価損勘定は「費用」の勘定科目で、営業外費用として表示します。

(例2)取得価額7,000,000円(@70,000×100株)の株券が期末時価@72,000円となっていたので、評価替えをした。。
(解)(売買目的有価証券)200,000  (有価証券評価益)200,000

なお、有価証券評価益勘定は「収益」の勘定科目で、営業外収益として表示します。


 企業が証券市場に投資をするのは、イ、比較的少額から投資ができる ロ、現金化しやすい といった利点以外に、ハ、資金調達の場合、株券・公社債券に質権設定をして(担保品提供)、銀行より融資を受けやすい点が挙げられます。
 さらに、個人企業ならば、原則的に「有価証券売却益」は、売却価額の1%を納税すると課税関係から逃れられるという所得税法上のメリットがあります。
 株式会社ならば「受取配当金」の全額(持株割合が25%以上の株式(特定株式等)の場合)またはその80%(特定株式等以外の場合)が「益金」に算入されないため、課税されないという法人税法上のメリットがあります。

第6節 投資不動産について

 利用目的ではなく、投機目的で土地・建物を購入・取得した場合は、『投資不動産勘定』を用います。
 投資不動産勘定は「資産」の勘定で、固定資産の「投資等」に掲記されます。


第7節 貸付金について

 「金銭消費貸借契約(借用証書)」に基づき、長期・多額の資金の貸付を行なう場合は、『貸付金勘定』を用います。
 貸付金勘定は「資産」の勘定です。


第8節 手形貸付金について

 「約束手形」を受取って、短期・少額の資金の貸付を行なう場合は、『手形貸付金勘定』を用います。
 手形貸付金勘定は「資産」の勘定科目です。


第9節 定期預金について

 銀行預金のなかでは、高金利の定期預金に余裕資金を預入れて、資金の保全を図ります。3カ月、6カ月、1年、2年の各種の預金があるだけではなく、300万円・1000万円単位のMMC(市場金利連動型預金)といった商品も出されています。



第4章 資産のいろいろ

 企業が保有・利用する資産は、その性質に応じて 1、流動資産 2、固定資産 3、繰延資産に大別されます。

第1節 流動資産

第1項 意義

 主たる営業活動より生じた資産(営業循環基準)、および企業が保有・利用する期間が1年以内の資産(ワン・イヤー・ルール One-year Rule 1年基準)は、流動資産に分類します。

第2項 例示

 現金、当座預金、普通預金、受取手形、売掛金、有価証券、商品(繰越商品)、短期貸付金(手形貸付金)、前払金、未収金、前払費用、未収収益など

第2節 固定資産

第1項 意義

 企業が保有・利用する期間が1年超の資産を固定資産といい、イ、有形固定資産 ロ、無形固定資産 ハ、投資等に分けられます。

第2項 有形固定資産と具体例

有形固定資産……建物、構築物、機械、船舶、車両運搬具、備品、土地、建設仮、立木、家畜、果樹など

第3項 無形固定資産と具体例

無形固定資産……営業権、特許権、借地権、地上権、商標権、実用新案権、意匠権、鉱業権、漁業権、入漁権、電話加入権など
*営業権は商法第285条ノ7に「暖簾」として規定されており、他の会社を買収した場合や合併することによって生じます。
(例)諸資産400円、諸負債180円の企業を250円にて買収し、現金にて支払う。
(解)(諸資産)
400
(諸負債)
180
(営業権)
30
(現金)
250

第4項 投資等と具体例

投資等……投資有価証券、出資金、長期貸付金(貸付金)、破産債権、投資不動産、定期預金など

第5項 減価償却について

 土地や備品である書画・骨董品などをのぞく有形固定資産、および借地権、地上権や電話加入権などをのぞく無形固定資産は、利用や時の経過に従ってその価値を減少させます。 その減価部分を合理的に見積り、期末に費用(減価償却費勘定)に計上する手続きを減価償却といいます。

イ、直接法による処理
(例1)平成2年 1月 1日 車両を500円にて取得した。
(例2)平成2年12月31日 上記車両の減価償却を行なう。なお、耐用年数6年、残存価額は10%。
(例3)平成3年12月31日 上記車両の減価償却を行なう。
(例4)平成4年12月31日 上記車両の減価償却を行なう。
(解)
(例1)平成2年 1月 1日 (車    両)500(現金)500
(例2)平成2年12月31日 (減価償却費) 75(車両) 75
(例3)平成3年12月31日 (減価償却費) 75(車両) 75
(例4)平成4年12月31日 (減価償却費) 75(車両) 75
上記のような処理方法を『直接法』といいます。元帳に転記をしてみると
となります。
 この方法は、直接に資産価額を減少させるので「取得価額」が明示されなくなる、貸方の金額が売却の場合なのか減価償却の場合なのかわかりにくいなどの欠点がありますので、通常は以下の『間接法』が用いられます。
ただし、無形固定資産は直接法のみ用いられます。

ロ、間接法による処理
(例1)2年 1月 1日(車   両) 500(現金)         500
(例2)2年12月31日(減価償却費) 75(車両減価償却累計額)75
(例3)3年12月31日(減価償却費) 75(車両減価償却累計額)75
(例4)4年12月31日(減価償却費) 75(車両減価償却累計額)75
元帳に転記をしてみると
となります。

ハ、減価償却を行うためには、A、耐用年数 B、残存価額 C、計算方法を決定しておく必要があります。
A、耐用年数……固定資産の利用可能期間を耐用年数といい、年数の見積りが困難でありかつ恣意的に陥りやすいので、通常、大蔵省令(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)に従って、耐用年数を決定しています。
B、残存価額……耐用年数を経過した時点での評価額を残存価額をいいます。評価額を予め正確に決定することは不可能ですから、通常は大蔵省令によっています。省令によれば、残存価額は有形固定資産の場合その取得原価の10%、無形固定資産は0%、生物は5〜50%となっています。
C、計算方法……減価償却の基礎となる取得価額・耐用年数・残存価額が決定すると計算をすることとなりますが、その計算方法には a, 定額法 b, 定率法 c, 級数法 d, 生産高比例法などがあります。

第6項 固定資産の売却と除却

 固定資産は、不用になった場合や新規設備の導入にともなって、売却もしくは除却されることがあります。
 この場合において、固定資産の帳簿価額と売却額との差額は、「固定資産売却益(収益…特別利益)」もしくは「固定資産売却損(費用…特別損失)」として記録されます。
 また、除却の場合は、「固定資産除却損(費用…特別損失)」として記録されることとなります。
(例1)店舗用に取得してあった土地(帳簿価額260,000円)を300,000円にて売却した。
(解)  (現  金)300,000(土  地)    260,000
                  (固定資産売却益)40,000
(例2)取得価額150,000円の備品(減価償却累計額108,000円)が不用となったので、除却した。
(解)  (備品減価償却累計額)108,000(備   品)150,000
     (固定資産所却損)    32,000

第7項 資本的支出と修繕費

 有形固定資産を取得して後に、その固定資産について改造・補修のための金銭的支出があった場合、次のような二つのケースが考えられます。
1)改造・補修の支出により、当該固定資産の価値が増加し,もしくは耐用年数が延長するときは、その支出額を取得価額に加算しなければなりません。(このような支出を「資本的支出」といいます)
2)改造・補修が、通常予定されている保守・修理、もしくはそれに類するものであるときは、そのための支出は、「修繕費」として会計処理されます。(このような支出を「収益的支出」といいます)

(例)賃貸用アパートを改造し、各室に風呂設備を増設した。支出額は120,000円である。
(解)  (建  物)120,000(現  金)120,000
(例)賃貸用アパートの雨漏りを修繕した。支出額は50,000円である。
(解)  (修 繕 費) 50,000(現  金) 50,000

第8項 固定資産と消耗品費

 企業が保有・利用する期間が1年以内の資産、または取得価額が少額(税法上は、1個もしくは1組が「10万円未満」)の資産は購入時に、費用(消耗品費)処理してもよいこととなっています。
(例)原動機付自転車を8万円にて購入した。
(解)  (消耗品費)80,000(現  金)80,000


第3節 繰延資産

第1項 意義

 すでに代価の支払いが完了し、
これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、
その効果が将来にわたって発現するものと期待される「費用」を
「繰延資産」といいます。

第2項 創立費

創立費(商法旧第286条)……会社の設立までの会合費・定款などの作成費・発起人の報酬・設立登記の登録税などは、経常的な費用ではなく会社設立以降にその効果が現われてくるものであるから「繰延資産」として計上され、設立後5年内に毎決算期に均等額以上を償却しなければならないこととされています。
(創  立  費)×××(現    金)×××
(創立費償却)×××(創 立 費)×××

第3項 開業費

開業費(商法旧第286条ノ2)……会社成立以降営業開始までに要した開業準備の諸費用は、これに対応する収益が発生せず営業開始以降にその効果が現われてくるものですから「繰延資産」として計上され、設立後5年内に毎決算期に均等額以上を償却しなければならないこととされています。
(開 業 費)×××(現    金)×××
(開業費償却)×××(開 業 費)×××

第4項 株式交付費(旧:新株発行費)

株式交付費(旧:新株発行費(商法旧第286条ノ4)……会社が増資をする場合において要する印刷費などの諸費用は、発行年度のみに負担させるのは不当ですから「繰延資産」として計上され、発行後3年内に毎決算期に均等額以上を償却しなければならないこととされています。また、新しい会計基準では、自己株式処分費用も株式交付費として繰延資産に含まれることになります。
(株式交付費)×××(現     金)×××
(株式交付費償却)×××(株式交付費)×××

第5項 開発費

開発費(商法旧第286条ノ3)……新技術・新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓などに要する特別の費用を「繰延資産」として計上し、支出後5年内に毎決算期に均等額以上を償却しなければならないこととされています。
(開  発  費)×××(現    金)×××
(開発費償却)×××(開 発 費)×××

第6項 試験研究費⇒新しい会計基準では即時費用処理

試験研究費(商法旧第286条ノ3)……新製品・新技術などの研究・完成のための研究費は、新製品などから生じる収益に負担させるのが適当ですから「繰延資産」として計上し、支出後5年内に毎決算期に均等額以上を償却しなければならないこととされていました。
第7項 社債発行差金⇒新しい会計基準では社債額(負債)から直接控除

社債発行差金(商法旧第287条)……社債を割引発行した場合(〔3〕調達2、Cを参照)の額面金額と発行価額との差額は、「繰延資産」として計上し、社債償還期間内に毎決算期に均等額以上を償却しなければならないこととされていました。
第8項 社債発行費

社債発行費(商法旧第286条ノ5)……社債を発行する場合において要する印刷費などの諸費用は、発行年度のみに負担させるのは不当ですから「繰延資産」として計上され、償還期間内に毎決算期に均等額以上を償却しなければならないこととされています。
(社 債 発 行 費 )×××(現     金)×××
(社債発行費償却)×××(社債発行費)×××

第9項 建設利息⇒廃止

建設利息(商法旧第291条)……会社成立以降営業開始までに長期間を要する鉄道業・電気ガス供給業などの場合、数年以上にわたり収益が発生しないすなわち利益が計上されません。このことは出資の見返りとしての配当を期待する投資者にとって魅力のない企業となり、出資をしないかもしれません。このため商法は投資を誘引するために、一定の条件の下で例外的な「利息の配当」を認めていました。
建設利息の償却は6%を超える利益配当を行なった場合に、その超過額と同額以上の償却をしなければならないこととなっていました。


第5章 負債のいろいろ

企業が負担する負債は、その性質に応じて、「流動負債」と「固定負債」とに大別されます。

第1節 流動負債について

第1項 意義

 主たる営業活動より生じた負債(営業循環基準)、および1年以内に支払い期限の到来する負債(ワン・イヤー・ルール)は流動負債に属するものとします。

第2項 具体例

 支払手形買掛金短期借入金(手形借入金)、未払金、前受金、預り金、未払費用、前受収益、賞与引当金、修繕引当金など


第2節 固定負債について

第1項 意義

 企業が負担する負債のうち、1年を超えて支払い期限の到来する負債は「固定負債」に属するものとします。

第2項 具体例

 社債、長期借入金(借入金)、退職給与引当金、特別修繕引当金など


第3節 引当金について

第1項 引当金の設定

 一般的に、費用は現金支出にともなって計上・記入されています。
 すなわち(例)(給料)××(現金)××といったように…。
 ところが、当期の収益に対応する「費用」があるにもかかわらず、現金支出がおきないため費用に計上されないことがあります。
 適切な期間損益計算のために、期末において、これらの費用を計上する必要が生じます。こうした費用の計上の手続きを「引当金の設定」といいます。
 ただし、費用の計上が恣意的に行われないように、引当金の設定要件が、以下のとおり厳格に定められています。

第2項 設定要件

(イ)将来の特定の費用または損失であって、
(ロ)その発生が当期以前のの事象に起因し、
(ハ)発生の可能性が高く、かつ、
(ニ)その金額を合理的に見積もることができる場合には、
当期の負担に属する金額を当期の費用または損失として、引当金に繰入れることができます。
 なお、商法にも同趣旨の規定が置かれています。(商法旧第287条ノ2)

第3項 仕訳例

(例1)
(〇〇引当金繰入)××× (〇〇引当金)×××
「〇〇引当金繰入勘定」は費用の勘定科目であり、「〇〇引当金勘定」は負債または資産の控除的評価勘定です。(第3章第7節で説明した「貸倒引当金」の項を参照してください
(例2)
当該費用の現金支出があった。
(〇〇引当金)××× (現   金)×××


第4節 社債

第1項 意義

 社債とは株式会社が資金調達を目的として公衆に対する起債によって生じた債務で将来一定の時期に、一定の金額を償還することを約束した確定利付債務証書です。
 なお、発行形態は以下のとおりです。
(1)平価発行 額面金額=発行価額
(2)割引発行 額面金額>発行価額
(3)打歩発行 額面金額<発行価額

第2項 会計処理

取引の流れ
(1)社債発行時の処理
(当 座 預 金)   ××× (社     債)   ×××
社債発行差金)  ×××
社 債 発 行 費)  ××× (当 座 預 金)    ×××

(2)利払日の処理
(社 債 利 息) ××× (当 座 預 金) ×××
額面金額×利率(月割計算)

(3)決算日の処理

  • 社債発行差金の償却
    (社債発行差金償却) ×××  (社債発行差金) ×××
    償還期間内において月割償却
  • 社債発行費の償却
    (社債発行費償却) ××× (社 債 発 行 費) ×××
    3年以内に均等額(期割)償却
  • 社債利息の修正
    決算日と利払日が同一で未払の場合
    (社 債 利 息) ××× (未  払  金) ×××


    決算日と利払日が異なる場合
    (社 債 利 息) ××× (未払社債利息) ×××
    決算日直前の利払日の翌日から決算日までの利息相当分を計算


    利払日到来分のうち、未払がある場合
    (社 債 利 息) ××× (未  払  金) ×××

    (4)社債償還時(買入償還)の処理
    (社     債) ×××(当 座 預 金)×××※1
    (社債発行差金)×××※2
    (社 債 償 還 益) ×××※3

    ※1 買入価額
    ※2 償還時の未償却残高のうち買入れたものに対応する金額
    ※3 社債償還損が生じることもあります
    (注)買入償還時が利払日と異なる時は、買入分の端数利息(直前の利払日の翌日から買入時までの利息)は別に計算して利息計上します。

    (5)満期日
    社     債 ×××  当 座 預 金 ×××
    額面金額によります



    第6章 債権・債務のいろいろ

    第1節 未収金と未払金について

    第1項 意義

     主たる営業活動以外の取引における「代金の未決済高」を表わす「債権・債務」の勘定科目です。

    第2項 勘定科目

    第3項 取引例

    (例1)当店AはB家具店より事務机を購入し、代金は月末に支払うこととした。
    (解)
    [売主]
    事務机
    [買主]
    月末払い
    (売掛金)××(売 上)××(備 品)××(未払金)××

    (現 金)××(売掛金)××(未払金)××(現 金)××

    *B家具店にとって「机」の販売は、主たる営業活動であるから、「机」=商品」です。したがって、債権の勘定科目は「売掛金」となります。

    (例2)不用のダンボール紙・新聞紙などを売却し、代金は後日受取ることとした。
    (解)
    (未収金)×××(雑収入)×××


    第2節 前払金と前受金について

    第1項 意義

     通常の取引において「現物の受渡し」以前の時点で、金銭を授受することがあります。この場合、「前払金・前受金」勘定を用います。
     手付金、内金、予約金などの受け払いがこれです。


     「民法(557条)の手附(解約手附)」の場合は、買主は手付金を放棄して、契約を破棄できます。また、売主は手付金の倍額を返却して、契約を破棄することができます。
     これに対し、「内金」は代金の一部ですから、契約は破棄できません。以後、契約を履行しないと、債務不履行として損害賠償義務を負わされます。

     なお、この債権・債務は、原則的に後日現金での決済がなされるのではなく、現物の受渡しの代金に充当される点に特徴があります。

    第2項 勘定科目

    第3項 取引例

    B[売主]
    手付金の交付
    A[買主]
    (現 金)××(前受金)××(前払金)××(現 金)××
    B[売主]
    商品
    A[買主]
    残金の支払い
    (現 金)××(売 上)××(仕 入)××(現 金)××
    (前受金)××
    (前払金)××


    第3節 貸付金と借入金について

    第3章 資金の調達と運用第1節 借入金および第7節 貸付金の項を参照してください)


    第4節 手形貸付金と手形借入金について

    第3章 資金の調達と運用第2節 手形借入金および第8節 手形貸付金の項を参照してください)


    第5節 立替金と預り金について

    第1項 意義

     一時的な金銭の貸借を表わし、多くの場合、従業員・役員・取引先などとの関係で発生します。

    第2項 勘定科目

    第3項 取引例

    (例1)役員Xのために、A自動車会社に300円の小切手を立替払いをした。
    (解)   (役員立替金)300(当座預金)300
    (例2)当月分の給料165円のうち、健康保険料6円・厚生年金保険料9円・源泉所得税8円を差引き、現金にて支払う。
    源泉した保険料などを所定の日に納入した。

    (解)4/20(給      料)165(健康保険料預り金)
    (厚生年金保険料預り金)
    (源泉所得税預り金)
    (現      金)142
    4/30(健康保険料預り金)
    (現      金)
    30
    (厚生年金保険料預り金)
    (法 定 福 利 費)
    15
    5/10(源泉所得税預り金)
    (現      金)

    *上記のように「立替金・預り金勘定」は「〇〇預り金」と内容を明示して用いられるのが一般的です。


    第6節 仮払金と仮受金について

    第1項 意義

     相手勘定科目や金額が、未確定の時点における、金銭の収入支出を表わす「取り敢えず」の処理に用います。       
     相手勘定・金額が確定した段階、または期末には、適切な勘定科目に振替える必要があります。

    第2項 勘定科目

    第3項 取引例

    (例1)従業員Aに東京出張を発令し、旅費などの概算額200円を手渡した。
    (解)  (仮払金) 200(現 金) 200
    (例2)出張より帰社したAより報告を受け、残金は戻入された。
    (解)  (旅 費) 110(仮払金) 200
         (宿泊費)  80
         (現 金)  10
    (例3)当座預金に120円の振込みがあったが、内容は不明である。
    (解)  (当座預金)120(仮受金) 120
    (例4)上記振込みは、B商店からの売掛金支払い分であった。
    (解)  (仮受金) 120(売掛金) 120


    第7節 商品券と他店商品券について

    第1項 意義

     商品券を発行・販売したときは、後日、この商品券と引き換えに「商品」を引き渡す義務が生じますので、負債としての「商品券」勘定の貸方に記入します。
     また、商品券を同業者や商店街で共同して発行する場合があります。この場合において、商品販売の時点で他店発行の商品券を受け取ったときには、「他店商品券」勘定の借方に記入します。
     後日、他店との間で、当店保有の「他店商品券」と他店保有の当店「商品券」とを交換・相殺し、差額を金銭等で精算します。

    第2項 勘定科目

    第3項 取引例

    (例1)商品券200円を販売し、代金は現金にて受け取る。
    (解)  (現 金) 200(商品券) 200
    (例2)商品230円を売り渡し、上記商品券と現金30円を受け取った。
    (解)  (商品券) 200(売 上) 230
          (現 金)  30
    (例3)商品320円を販売し、代金は商店連合の近畿商店発行の商品券を受け取った。
    (解)  (他店商品券)320(売 上) 320
    (例4)上記商品券の精算をおこない、現金を受け取った。
    (解)  (現 金) 320(他店商品券) 320



    第7章 資本とは

    第1節 資本金

    第1項 個人企業の資本金

     個人企業の資本は、ただ一人の出資者に拠っているので正味財産はいうまでもなくその個人に帰属します。つまり資本が誰によってもたらされ、誰に帰属するのかという、依拠・帰属関係を明らかにする必要がないため、その内容は細分化されず「資本金勘定」だけで表示されます。
    総資産より総負債をマイナスして算出される資本がすなわち資本金となります。

    なお、資本金の引出しを明示するために「引出金勘定」を用いるのが望ましいとされています。

    (例1)元入れをして、開業した。
    (解)   (現 金)×××(資本金)×××

    (例2)現金を私用のため、消費した。
    (解)   (資本金)×××(現 金)×××
    (別解)  (引出金)×××(現 金)×××
    *別解の場合、期末に、引出金勘定は資本金勘定に振り替えなければなりません。
    (期末)  (資本金)×××(引出金)×××

    (例3)当期純利益を資本金に振替えた。
    (解)   (損 益)×××(資本金)×××

    (例4)当期純損失を資本金に振替えた。
    (解)   (資本金)×××(損 益)×××

    第2項 株式会社の資本金

     株式会社の資本金とは、商法における法定資本をいいます。これは、原則として、「発行済無額面株式の発行価額の総額」をいいます。

    (1)株式の種類
    無額面株式…株式の券面に金額を入れずに単に株式数のみが記載されたもの。

    《※額面株式(廃止)…1株の金額が定められているもの。(最低5万円で、発行株式全株均一額)

    (2) 株式発行の会計処理(会社法第445条)
    発行時に資本金を増加させます。原則として、発行した株式の総額を資本金とします。

    例外として以下の処理が認められています。

    発行価額の2分の1を超えない額は資本金としないことができます。(会社法第445条第2項)
    ※資本金としない金額は株式払込剰余金(資本準備金)とします。(会社法第445条第3項)

    第3項 取引と会計処理

  • 会社設立および株式発行(増資)の処理 (例) 甲山工業株式会社は取締役会の決議により未発行株式300株のうち、無額面株式100株を1株当り90,000円で発行し全額払込を受けて当座預金とした。
    1.商法における原則規定
    (当 座 預 金) 9,000,000  (資  本  金)  9,000,000

    2.発行価額のうち1株あたり20,000円を資本金としない
    (当 座 預 金)9,000,000(資  本  金)7,000,000
    (株式払込剰余金)2,000,000

    3.発行価額のうち商法に規定する最高限度額を資本金としない
    (当 座 預 金)9,000,000(資  本  金)4,500,000
    (株式払込剰余金)4,500,000

    資本金の計算(1株当り)90,000×1/2=45,000円

    ※株式申込証拠金
     株式の募集を行い、応募者より株式の申込金として受け入れる預り金で後日割当が決定したときに資本金に振り替えます。
    1.申込金の払込をうけたとき
    (別 段 預 金) ××× (株式申込証拠金) ×××

    2.割当をしたとき
    (株式申込証拠金)×××(資  本  金)×××
    (株式払込剰余金)×××
    (当 座 預 金)×××(別 段 預 金)×××

    第2節 資本準備金

     意義

    会社法第445条第2項および第5項の規定によって積み立てる資本剰余金(合併、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転)で資本組入または欠損てん補以外には取崩せません。

    第3節 利益処分

    第1項 意義

    一会計期間の純利益と前期から繰越されてきた利益を処分可能利益として、株主総会の承認を得た利益処分案にしたがって処分することです。また、営業年度を1年とする会社は、定款の定めにより営業年度中1回に限り、確定配当とは別に配当を行うことができます。

    第2項 会計処理

    (1)利益準備金
    商法規定に基づき資本金の4分の1に達するまで毎期、社外流出する金額の10分の1以上の積立を強制されている利益留保額です。
    (2)任意積立金
    法律に規定する内部留保額ではなく、会社の自発的意思である定款の規定や株主総会の決議による内部留保額です。
    (3)次期繰越利益
    当期の利益処分において、具体的な処分目的が未決定のまま次期に繰越されることとなった利益部分です。
    (例)未処分利益\1,600,000を次のように処分し、残額は次期に繰越すことに決定した。なお、処分前の資本金は\10,000,000で利益準備金は\2,450,000であった。
    利益準備金:法定最低額   役員賞与金:\140,000
    金銭配当金:\700,000     別途積立金:\110,000

    ー勘定制
    (未 処 分 利 益)1,000,000(利 益 準 備 金)
    50,000
    (未 払 配 当 金)700,000
    (未払役員賞与金)140,000
    (別 途 積 立 金)110,000

    二勘定制
    (未 処 分 利 益)1,600,000(利 益 準 備 金)
    50,000
    (未 払 配 当 金)700,000
    (未払役員賞与金)140,000
    (別 途 積 立 金)110,000
    (繰 越 利 益)600,000

    利益準備金積立額の計算
    利益処分直前の資本金×1/4−利益処分直前の利益準備金
    社外流出額×1/10のいずれか少ない方

    第4節 損失処理

    第1項 意義

    一会計期間終了後の純損失と前期繰越損失があればそれを加えた額が当期未処理損失となり株主総会において積立金等の取崩しによって填補するか次期に繰越すかが決議されます。
    第2項 会計処理

    (1)填補順位
    欠損填補積立金⇒別途積立金⇒その他の特定目的積立金⇒利益準備金⇒資本準備金
    (2)次期繰越損失
    当期の損失処理において填補されず、次期に繰越されることとなった損失部分です。

    (例)未処理損失\15,000,000を次により填補した。
    欠損填補積立金:\2,000,000  別 途 積 立 金:\5,000,000
    新 築 積 立 金 :\1,000,000  利 益 準 備 金:\2,500,000
    資 本 準 備 金 :\4,000,000

    ー勘定制
    (欠損填補積立金) 2,000,000 (未 処 理 損 失) 14,500,000
    (別 途 積 立 金)  5,000,000
    (新 築 積 立 金)  1,000,000
    (利 益 準 備 金)  2,500,000
    (資 本 準 備 金)  4,000,000

    二勘定制
    (欠損填補積立金) 2,000,000 (未 処 理 損 失) 15,000,000
    (別 途 積 立 金)  5,000,000
    (新 築 積 立 金)  1,000,000
    (利 益 準 備 金)  2,500,000
    (資 本 準 備 金)  4,000,000
    (繰 越 損  失)   500,000


    第5節 剰余金

    剰余金とは利益処分時において社内に留保した任意積立金です。任意積立金には新築積立金、配当平均積立金、欠損填補積立金、別途積立金などがあります。


    第8章 収益の諸勘定について

    −省略−


    第9章 費用の諸勘定について

    −省略−


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